アレルギーではない鼻炎もたくさん!血管運動性鼻炎のお話
桜が岡耳鼻咽喉科の吉川です。
急に寒くなったり、じめじめ湿度が高くて不快だったり、まだちょっと落ち着かない感じがいたします。
今日は鼻炎の話です。
普段生活をしているとたまに鼻を噛むことくらいはあると思います。しかし生活に支障をきたすほどになると、薬が必要かな、、、病院行こうかな、、、となってきます。猛暑が急に終わったような今日この頃、少し涼しくなると外出もしやすくなり、さらに病院にでも行ってみようかなとなります。
鼻炎=アレルギー性鼻炎とは限りません。鼻炎をわかりやすく分類すると「感染性」「過敏性非感染性」「刺激性」「萎縮性」となります(専門的にはもっと詳しく述べることもありますが、わかりやすく説明しています)。
「感染性」・・・ウイルスや細菌が原因となるもの
「過敏性非感染性」・・・アレルギー性、非アレルギー性、味覚性、寒冷気性、老人性、薬剤性、心因性、妊娠性、内分泌性、乾燥性
「刺激性」・・・物理性、化学性、放射線性、その他
「萎縮性」・・・鼻の粘膜が薄く(萎縮)硬くなり、鼻腔が広がって乾燥する慢性鼻炎の一種 高齢の方に多い
これだけ見ても、たくさんありすぎる、、、と思いませんか?
今日は特に「過敏性非感染性」のうち非アレルギー性に含まれる「血管運動性鼻炎」についてご説明します。あまり専門的でない言い方ですがいわゆる「寒暖差アレルギー」と言われるものなどが該当します。
耳鼻咽喉科で鼻を見てもらって、アレルギー検査で陰性だと「寒暖差アレルギーですね」などとサクッと言われるご経験はありませんか?「アレルギーでないのに、アレルギー?」混乱しやすいネーミングですが、その正体は「血管運動性鼻炎」です。
耳鼻咽喉科では一瞬で診断を下されるように感じるかもしれませんが、私の場合は以下の手順に沿って診断しています。
1)まるでアレルギー性鼻炎のような症状がある(くしゃみ・鼻水・鼻づまりのうちのどれかもしくは全部)
2)きっかけ(薬剤、喫煙、妊娠授乳、職場環境、シックハウスなどの化学物質、、、)が思い当たらない
3)鼻を診察して鼻腔ポリープや鼻中隔弯曲症などの原因がない
4)アレルギー検査で主要な吸入抗原の感作を認めない(陰性)
5)鼻水の中に好酸球(白血球の種類)を認めない(実臨床ではなかなかここまでの検査はできませんが)
6)レントゲンやCTで副鼻腔炎がないことがわかる
1)〜6)を満たせば「血管運動性鼻炎」と言えるだろうと考えています。眼のかゆみがないのも特徴です。
市販の点鼻薬を使いすぎることによって起こる「薬剤性鼻炎」と区別することも大事です。
血管運動性鼻炎と似ていますが、高齢の方で鼻づまりがなく鼻水だけが出るタイプだと「老人性鼻漏」の場合もあります。
私のクリニックでは、6)の「副鼻腔炎を除外すること」をとても大切に考えています。なぜなら治療方針が異なるからです。常々、患者さんのお話を伺うと「私は副鼻腔炎なんです」と自己診断している方が多いことに気づきます。「でも治療を受けても一向に改善しないので来ました」と言われる方にはしっかりとレントゲンやCTを行うと、案外副鼻腔炎の所見がないということもよくあります。そうすると、他の鼻炎の可能性のご説明をさせていただき、無駄に抗生剤を飲むことなく過ごせるので、皆様とても安心されます。当院には耳鼻咽喉科専用CTもありますので、お気軽にご相談ください。
さて、血管運動性鼻炎の治療法になりますが、それに特化して確立した治療法があるわけではなく、アレルギー性鼻炎治療薬の流用が現状です。点鼻ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、手術などになります。血管運動性鼻炎には副交感神経の興奮が関与しているとも言われているので、生活リズムなどを整えて自律神経のバランスが乱れないようにすることも大事ですし、体を温めるのも良いとされています。
これからいい季節が来る反面、体調管理に気をつけないといけないですね。子供たちは学校も始まりますし。頑張りましょう。
桜が岡耳鼻咽喉科が皆様のお役に立てれば幸いです。
桜が岡耳鼻咽喉科 院長 吉川沙耶花
「鵠沼、片瀬、鎌倉などにお住まいの方、江ノ電石上・柳小路から徒歩5分の耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニックです。ぜひご活用ください🌸」
(当院にも3台分駐車場はございますが、地図上のP印は近隣コインパークのご案内になります)