耳あかは自浄作用で耳の外に排出されると言われています。耳掃除を行うことで、逆に耳あかを奥に押し込んでしまったり、外耳道（耳のあな）に炎症などを起こしたりして、結局治療が必要になるリスクがあります。外耳道炎は耳掃除によるものがほとんどです。耳の奥の方を無理に掃除したり、かゆい部分を追求して綿棒でこすってみたりすると、その後余計に症状が悪化してしまいますので注意が必要です。

しかし、お子さんは新陳代謝が早いですし、中でも湿った耳あかタイプの方は耳掃除の必要性が高い場合があります。

よく海やプール教室に行っているお子さんの場合も特に定期的に耳掃除をして、耳あかがたまっていない状態にしておくことが大切です。プールなどの水を耳あかが吸い込んで膨らんで聞こえずらくなったり、外耳道炎を引き起こしたりする可能性があるからです。

耳鼻咽喉科で行う耳あか掃除は、医療行為としてきちんと認められているので遠慮なく受診してください（お子さんに限らずもちろん大人もです）。

では、耳鼻咽喉科ではどのように耳あかを掃除しているのでしょうか。まずはそれなりに適した道具がたくさんあるので、それらを使い分けて、使いこなして行います。

特に今回はお子さんの耳掃除の説明をしますが、

処置中は、保護者さんと看護師で協力してお子さんが動かないように一生懸命体を固定してくれているので、私はできるだけ短時間で、そして絶対にキズをつけないように、かなり集中をして処置を行っています。一見ササっと行っているように見えるかもしれませんが高度なテクニックが必要な奥の深い処置になります。耳鼻咽喉科医としては失敗せずに遂行しなければならず、意外にも（？！）一番気を遣う処置のような気がしています。微細な処置なので、患者さん本人は少ししか動いていなくても、医師からすると耳あかがフレームアウトしてしまうほどの大きな動きに感じます。医師と、看護師と、保護者さんと、そして処置を受ける本人と、一丸となって取り組む処置です。

、、、と書いてしまうと大袈裟ではありますが、やはり耳あかが取れた後は保護者さんも安心されますし、その後も定期的に来てくださることがほとんどです。

当院では、ほとんどの処置を座ったまま皆で協力して短時間で耳あかを除去しますが、中にはまだ小さくて大泣きしてしまって座っていられない場合もあります。そのような時は、バスタオルのおくるみを巻いて、ベッドに寝ていただき、安全を確保しながら顕微鏡を使って掃除をします。本人汗だくになってしまうこともありますが、安全第一です。硬い耳あかの場合はぬるい生理食塩水や点耳薬で耳あかをふやかしながら取る場合もあります。

そして、座っても寝ても取れないような、硬い耳あかが耳に張り付いてしまっている場合もあります。そのときは耳あかを軟らかくする耳垢水という薬液を処方します。次回受診予定日の5日〜7日前くらいから、毎日朝晩各1回ずつ耳の中にたらし（点耳し）、耳あかがふやけた状態で受診していただき、病院ではそのふやけた耳あかを吸引機で吸い取るという手法で除去します。時間と手間はかかりますが、この方法だと、お子さんが痛みを感じることが少なく、無理して耳あかをはがし取ってキズを残すリスクを軽減できます。

今回はお子さんの耳掃除についての情報をお届けしました。

藤沢市鵠沼桜が岡1−8−5−1　0466−28−8711

桜が岡耳鼻咽喉科　院長　吉川沙耶花

「鵠沼、片瀬、鎌倉などにお住まいの方、江ノ電石上・柳小路から徒歩５分の耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニックです。ぜひご活用ください🌸」

（当院にも3台分駐車場はございますが、地図上のP印は近隣コインパークのご案内になります）