のどの病気
のどの病気
ウイルスや細菌が原因で起こる、いわゆる「のど風邪」です。ウイルスが原因の場合、抗生剤は効果がありません。まずは症状を軽くする薬を服用したり、ネブライザーなどの処置を受けたりといった対症療法が中心となります。できるだけ悪化しないようなお手伝いをしながら、自身の免疫力で回復をしていくのを待ちます。中には、細菌感染が合併する場合もあります(混合感染や二次感染)。その場合は抗生剤も併用します。のどの状態や症状経過や血液検査を確認しながら判断し、治療を行います。
扁桃炎は体が疲労しているときなどに起こりやすい病気です。主に扁桃に存在する常在菌による炎症です。ウイルスが原因となる場合もあります。治療には抗生剤を用います。しばらく治療せず我慢していると、炎症が周囲に広がり、扁桃周囲炎、さらに膿がたまり始めて扁桃周囲膿瘍という重症度の高い病気へと進行することもあります。膿がたまると食事などもできなくなり、ひどいときは窒息するほどのどが腫れることもあります。その場合、切開排膿、点滴治療が必要であり、入院加療となる場合がほとんどです。特に扁桃炎を繰り返しやすい方は、症状の起こり始めにきちんと治療をしておくことが重症化を防ぐポイントです。
社会生活に支障を来すほど扁桃炎を繰り返すような方には摘出をお勧めする場合もあります。この場合、基幹病院へご紹介いたします。
のどの奥の方にある喉頭に炎症が起こることがあります。この場所は耳鼻咽喉科で内視鏡を使わないと見えませんので、のどの奥の方が痛い場合や、のどが痛いのに内科や小児科の先生からなんともなさそうだよ、と言われたときなどにわれわれ耳鼻咽喉科医が気にしなくてはならない場所です。特に、喉頭蓋(食事の時にむせを予防するために存在している気管の蓋)そのものが腫れる急性喉頭蓋炎という病気がありますが、これは見落とされたり放置したりすると窒息する可能性があります。
飲み込み(嚥下)は、実は複雑な筋肉の動きの組み合わせによって行われています。そうした動きのどこかに不調が生じると嚥下障害を来す可能性があります。原因としては、加齢や脳梗塞などが有名ですが、のどの炎症やできもの、神経疾患などでも嚥下障害が起きることがあります。
まず、声を出す部分(=声帯)を内視鏡で観察します。声帯は左右2本の筋肉からなりV字型をしています。声がかれる原因には、声帯に何かができている場合や、声帯が細くなったり腫れたりすることで、発声時にしっかり閉じない場合などがあります。習慣的に大きな声を出す方や歌を歌う方、喫煙習慣のある方などによく見られる症状です。
声がかれるというより、声を出しにくい、息をしにくいなどの症状が主である場合、声帯の動きが悪くなる声帯麻痺という病気があります。声帯麻痺が見つかると、今度はその原因を探す必要があります。さまざまな精密検査が必要となることが多く、大きな病院へ紹介させていただくことになります。
治療としては、まずは声を酷使せずに(できるだけ声を出さない)、ネブライザーなどを行いますが、声帯に何かできている場合(ポリープ、結節)は手術を勧める場合もあります。稀に腫瘍が見つかる場合もありますので、その際は専門施設へご紹介いたします。
のどは鼻や口ともつながっていますし、その先の気管や食道の入り口でもあります。さらにのどの周りには首があります。のどの違和感がある場合、それらのどこかに原因を探します。まずはのどの奥に何か病気が潜んでいないか、内視鏡などを使いすみずみまで観察します。しかし、案外どこにも病気が潜んでいないこともあります。咽喉頭異常感症と呼ばれる症状です。これは「のどの違和感に気を取られてしまう状態」を指します。過度のストレスや心因的なもの(不安症など)や更年期障害と関連するなどと言われています。お話を伺いながら、心療内科などへのご相談を勧める場合もあります。
最近は、胃酸の逆流(逆流性食道炎など)でのどの違和感を感じる方も多いです。
咳は出始めてから3週間未満のものを急性咳嗽、3週間以上8週間未満のものを遷延性咳嗽、8週間以上続くものを慢性咳嗽と呼びます(小児は4週間以上)。急性咳嗽はほとんどが風邪によるものです。その後少し長引くものが遷延性咳嗽と呼ばれます。慢性咳嗽は以下のように分類されます。
気道が収縮して喘鳴(ヒューヒュー)が聞こえる病気が気管支喘息です。咳喘息のように喘鳴(ヒューヒュー)はなく咳だけの症状の方もいますが、咳喘息も放置すると気管支喘息へ移行することがあります。吸入薬や内服薬を組み合わせて治療をします。
後鼻漏などによって咳がひどくなる場合があります。分泌物(痰)の量をできるだけ減らすことが大事です。
逆流した胃酸が咳受容体を刺激して咳が出たり、胃酸がのどや気管を直接刺激して咳が出たりします。
咳が出たり、のどがイガイガしたりします。抗ヒスタミン剤を使うとよくなることがあります。
これらの疾患を疑う場合は、呼吸器科への受診をお勧めします。